2025年に入り、日本国内で証券口座の乗っ取り被害が急増しています。
新NISAの普及とともに投資を始める人が増えた一方で、サイバー攻撃のリスクも身近な脅威になりつつあります。
この記事では、証券口座乗っ取り事件の背景や犯行手口、初心者でもできる具体的なセキュリティ対策、
そして長期的に資産を守るための心構えについて、わかりやすく解説していきます。
「自分は大丈夫」と思っているあなたにこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。
日本で急増する証券口座乗っ取り事件
2025年に入り、日本国内で証券口座の乗っ取り被害が急増しています。
金融庁が5月8日に発表したデータによれば、1月から4月末までの間に確認された不正取引は3,505件、被害総額は約3,049億円に達しました。
被害は大手証券会社を含む10社に及び、楽天証券、SBI証券、野村証券、大和証券、SMBC日興証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ eスマート証券、そしてみずほ証券でも確認されています。
犯行手口としては、フィッシング詐欺によるIDやパスワードの窃取、さらには「アドバーサリー・イン・ザ・ミドル(AiTM)」や「インフォスティーラー」といった高度なサイバー攻撃手法が用いられていると専門家は指摘しています。
これらの事件は、証券口座を持つすべての人々にとって他人事ではありません。
特に新NISA制度の開始に伴い、投資を始めたばかりの初心者にとっては、セキュリティ対策の重要性を再認識する必要があります。
本記事では、これらの事件の背景や手口を解説し、初心者が取るべきセキュリティ対策、そして資産を守るための心構えについて詳しくご紹介します。
なぜ証券口座が乗っ取られるのか?背景と手口を解説
証券口座が狙われる背景
近年、サイバー犯罪者たちのターゲットは「ネット銀行口座」だけでなく、「証券口座」にも急速に広がっています
その大きな理由は、証券口座に眠る資産額が高額になりやすく、しかも即時に「現金化」や「換金」がしやすいためです。
特に2024年からスタートした「新NISA制度」によって、投資を始める個人が急増しました。
これに伴い、証券口座開設数や運用資産額が増えたことで、犯罪者にとっての「おいしい標的」となっています。
また、証券口座は銀行口座と違い、少しセキュリティが甘く設定されているケースもあり、「二段階認証を設定していない」「ID・パスワードが流出している」ユーザーが少なくないこともリスクを高めています。
犯行に使われる代表的な手口
では、実際にどのような方法で証券口座は乗っ取られてしまうのでしょうか?
主な手口をわかりやすく整理してみます。
①フィッシング詐欺
偽の証券会社サイトや偽メールを使って、ログイン情報をだまし取る手口です。
最近では本物そっくりの偽サイトが登場しており、見分けるのが非常に困難になっています。
②リスト型攻撃
他のサービスから流出したID・パスワードを使い、証券口座に不正ログインを試みる攻撃です。
パスワードを使い回している人ほど被害に遭いやすい特徴があります。
③マルウェア(インフォスティーラー)
パソコンやスマホに感染し、ユーザーの入力情報(ID、パスワードなど)を盗み取るウイルスです。
最近では、悪質なアプリをインストールしただけで感染するケースも報告されています。
④アドバーサリー・イン・ザ・ミドル(AiTM)
ログイン時の通信を途中で乗っ取り、二段階認証コードまで盗み取る高度な攻撃です。
二段階認証を設定していても、これに引っかかると乗っ取りが成立してしまいます。
油断が命取りになる時代
これらの手口は、従来の常識だけでは防ぎきれないものも増えてきました。
「自分は大丈夫」と思っている人ほど、最新の攻撃手法に対して無防備なままになりがちです。
次の章では、特に初心者の方が今すぐ実践できる「具体的なセキュリティ対策」について、わかりやすく解説していきます。
【初心者向け】今すぐできる証券口座のセキュリティ対策5選
証券口座の乗っ取り被害を防ぐためには、特別な知識や高額なセキュリティ機器は必要ありません。
誰でもすぐにできる基本的な対策を、今すぐ実践することが一番の防衛策です。
ここでは、初心者の方でも今日から始められる5つのセキュリティ対策を紹介します。
①二段階認証を必ず設定する
証券口座にログインする際には、必ず「二段階認証」を設定しましょう。
二段階認証とは、IDとパスワードに加えて、スマホなどに送られてくる「確認コード」を入力する仕組みです。
これを設定しておけば、たとえパスワードが盗まれても、
本人のスマホを持っていない限りログインできないため、乗っ取りリスクを大幅に下げることができます。
※特に、「アプリ認証」や「SMS認証」など、複数の選択肢がある場合は、より安全な方法を選びましょう。
②複雑なパスワードを設定する
単純なパスワード(例:「password123」「abcd1234」)は、簡単に破られます。
証券口座には、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた、12文字以上の強力なパスワードを使いましょう。
③パスワードの使い回しをしない
ネット通販、SNS、メールアカウント…
複数のサービスで同じパスワードを使い回していませんか?
一つのサイトでパスワードが漏れると、芋づる式にすべてのアカウントが危険にさらされます。
特に証券口座のような「お金が絡むアカウント」には、必ず専用のパスワードを設定しましょう。
④フィッシングメール・偽サイトに注意する
最近は本物そっくりのフィッシングメールや偽サイトが増えています。
証券会社を名乗るメールやSMSが届いても、すぐにリンクをクリックしないことが鉄則です。
ログインが必要な場合は、必ず公式サイトをブックマークして、そこからアクセスする習慣をつけましょう。
⑤証券会社からの通知設定を活用する
多くの証券会社では、不審なログインや取引があった際に、メールやアプリ通知で知らせてくれる機能があります。
この通知設定をオンにしておけば、異常なアクセスにすぐ気づくことができます。
万一、不正アクセスに気づいた場合は、すぐに証券会社に連絡して口座凍結などの緊急対応を依頼しましょう。
小さな行動が、大きなリスクを防ぐ
ここで紹介した5つの対策は、どれも一つ一つは地味に感じるかもしれません。
しかし、これらを徹底するだけで、乗っ取りリスクは大幅に低下します。
次の章では、こうした「日常的な対策」に加えて、さらに長期的に資産を守るために必要な「セキュリティ力」を鍛える方法について紹介していきます。
資産を守るために!長期的に「セキュリティ力」を高める方法
短期的な対策だけでは、サイバー犯罪の進化スピードに追いつけないのが現実です。
資産を守るためには、長期的に「セキュリティ力」そのものを高めていくことが重要になります。
ここでは、初心者の方でも実践できる「セキュリティ力を育てる習慣」をご紹介します。
1. セキュリティに関する基礎知識を学ぶ
まずは基本的な知識を身につけることがスタートラインです。
- フィッシング詐欺とは?
- マルウェアとは?
- 二段階認証の意味とは?
こうした用語や仕組みを理解するだけで、危険な兆候にいち早く気づけるようになります。
難しい専門書を読む必要はありません。
信頼できる金融機関やセキュリティ会社の公式サイト、ニュース記事などを時々チェックするだけで十分です。
2. 最新の詐欺手口に常にアンテナを張る
サイバー攻撃の手口は、常に進化しています。
「数年前の常識」は今では通用しないことも多いです。
例えば、以前は「パスワードを8文字にすれば安心」と言われていましたが、
今では12文字以上が推奨されています。
金融庁、警察庁、証券会社などが出している**「注意喚起情報」**には、必ず目を通す習慣をつけましょう。
「最近こんな手口があるらしい」と知っているだけでも、防御力は格段に上がります。
3. ITリテラシーを少しずつ鍛える
資産を守るうえで、ITリテラシーは欠かせません。
ここでいうITリテラシーとは、
- 怪しいメールを見抜く力
- パスワード管理を徹底する力
- SNSでの個人情報発信に注意する力
など、日常的な「ネットを安全に使う力」のことです。
特に、**「リンクを安易にクリックしない癖」**をつけるだけでも、被害リスクは大きく下げられます。
4. 「自分は大丈夫」と思わない心構えを持つ
一番危険なのは、
「自分はそんなにネットを使わないから大丈夫だろう」
という油断です。
サイバー犯罪者は、セキュリティ意識の低い人を狙っています。
むしろ「普段あまりネットを使わない人」ほど、危険に気づきにくい傾向があります。
常に「自分も狙われるかもしれない」という意識を持って、慎重に行動しましょう。
5. 信頼できる金融機関・証券会社を選ぶ
口座開設の段階で、「セキュリティ対策がしっかりしている証券会社」を選ぶことも大切です。
チェックすべきポイントは、
- 二段階認証が標準装備されているか
- 不審なアクセスへの即時通知やロック機能があるか
- サポート体制(24時間対応など)が整っているか
などです。
どれだけ自衛していても、金融機関側のセキュリティレベルが低ければリスクは高まってしまいます。
まとめ
今回の記事では、最近日本国内で急増している証券口座の乗っ取り事件を取り上げ、その背景や手口、そして初心者でもできる具体的な対策について解説してきました。
証券口座の乗っ取りは、もはや一部の人だけが関係する問題ではありません。
新NISAの普及に伴い、これまで投資に縁がなかった人たちも証券口座を持つ時代になり、私たち一人ひとりが「自分の資産は自分で守る」意識を持つことが求められています。
セキュリティは、一朝一夕では身につきません。
しかし、今日から小さな意識改革を積み重ねることで、数年後には確実に「資産を守る力」が身についていきます。
あなたの大切な資産を守れるのは、あなた自身です。
この機会に、ぜひセキュリティ力を育てる第一歩を踏み出しましょう!
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