
こんにちは、はらぐろです。
2月26日に、米半導体大手エヌビディアが2024年11月〜25年1月期決算を発表しました。
決算の内容は、市場予想を上回ったのですが、株価はいまいちでした。
そんな、好決算でも株価が上がらない理由を考えてみます。
NVIDIA決算の概要
まずはNVIDIAをそもそもよく知らないという方もいると思うので、かんたんに会社の特徴を説明します。
NVIDIAは、GPUというコンピュータの映像処理を担う半導体を開発・製造しているアメリカの企業です。
ゲーム用グラフィックカードで有名ですが、近年ではAI(人工知能)やデータセンター向けのGPUが大きな収益の柱になっていることで注目を集めています。
さらに、自動運転やロボティクスなどの先端技術向けの半導体にも力を入れている、まさに「今」を体現するテック企業といえるでしょう。


今回の決算では、データセンター向けの需要やAI投資の拡大が追い風となり、売上高・純利益ともに市場予想を上回る好決算をたたき出した模様です。
特にAIブームが追い風になっており、ChatGPTなど生成系AIサービスの進化に欠かせない高速演算処理を担うNVIDIAのGPUは、今後も需要が拡大していくと見られています。
また、ゲーム向けのGPU需要はやや一巡した感がありますが、これも長い目で見れば一定の需要が維持される見通しです。売上高や利益が予想を上回った背景には、各クラウドベンダーや大手企業がAI関連のインフラに積極投資していることがあると考えられます。
にもかかわらず「好決算」が報じられた直後に株価は下落でした。
これは不思議に思われる方も多いかもしれません。
しかし、株式市場では「好決算だからといって必ずしも株価が上がるとは限らない」というケースはしばしば起こります。
では、なぜそういう現象が起きるのか? 、その代表的な3つの要因を見ていきましょう。
好決算なのに株価が下がる3つの要因
好決算でも株価が下がる要因は、いくつか考えられます。
良く言われるのは、以下の3つです。
好決算なのに株価が下がる3つの要因
①市場の過度な期待と失望
②他企業の決算や業界動向の影響
③利益確定売りやテクニカル要因
市場の過度な期待と失望
市場というのは常に先を読んで値をつけています。好決算が出ると予想された場合、実際の発表前から株価がすでに上昇していることが多いんです。
投資家たちは「NVIDIAなら絶対に好調だろう」と読んで、決算発表前から買いを入れる。すると株価がどんどん高くなっていくわけですね。
しかし、いざ決算が発表されてみたとき、それがいくら“好決算”でも「すでに予想されていた」水準を超えなければ市場は失望することがあります。
これは「材料出尽くし」とも呼ばれる現象です。たとえ内容がポジティブでも、市場の期待値のほうがさらに高ければ、決算発表後には失望売りが出やすくなるのです。
他企業の決算や業界動向の影響
企業の株価は、その企業単独の業績だけで動くわけではありません。
同じセクターに属する企業の決算状況や、業界全体のトレンドが大きく影響してきます。
半導体業界の場合はサプライチェーンの状況や、他の大手テック企業(たとえばインテルやAMD、Apple、Googleなど)の動向も大きく関係します。
もし、同時期に他の企業が思わしくない決算を発表していたり、業界全体で需要減速の兆候があると市場が判断すれば、「たとえNVIDIAが好決算だったとしても、いずれ影響は受けるだろう」といった読みが働き、株価が売られるケースも考えられます。
利益確定売りやテクニカル要因
株価が短期間で急騰していたり、業績発表前に大きく買われていた銘柄は、決算発表を機にいったん利益を確定しておこうとする動きが出やすいものです。
また、テクニカル分析的にみて移動平均線やRSIなどの指標が「過熱」と判断されていれば、やはり売りが出やすくなります。
「これだけ上がったんだから、一度売って様子を見よう」という投資家心理ですね。とくに機関投資家などは巨額の資金を動かしますから、売りを出せば株価が下がる影響も大きくなります。
3.投資家心理が株価に与える影響
ここで押さえておきたいのが、「投資家の心理」 です。
実際、株式市場は需要と供給のバランスで価格が決まります。好決算でも株価が下落する背景には「とりあえず利確しておこう」という投資家心理が大きく影響しています。


機関投資家の動き
大手ファンドや保険会社、年金基金など、巨額の運用資金を持つ機関投資家は、短期的な売買益よりもポートフォリオ全体のリスク管理やバランスを重視する傾向があります。
セクター調整や、決算後に組み入れ比率を見直すといった動きが起きれば、その銘柄が一時的に売られて株価が下がることもあります。
個人投資家の動き
個人投資家の場合、「決算が良かったからまだまだ上がる!」と考える人もいれば、「思ったほどサプライズがないから売っておこう」と考える人もいます。
いわゆる“期待外れ”と思うかどうかは人それぞれで、想定よりも株価が上がらなかったときに狼狽売りにつながるケースもあるのが個人投資家の特徴です。
また、SNSやニュースで「株価急落!」と報じられると心理的に不安が大きくなり、売りが増加することもあります。
結局のところ、決算内容が「市場予想を上回った」のか「期待を大幅に上回るほどではなかった」のかという、相対評価によって投資家の心理は大きく揺さぶられます。
NVIDIAに限らず、他の銘柄でも似たようなパターンが見られますよね。
4.下落局面での投資戦略と対策
「好決算なのに株価が下がる」というと、一見矛盾しているように思うかもしれません。でも、株式市場では決して珍しくありません。
むしろ、こうした“好決算後の下落”があるからこそ、投資家にとっては新たなチャンスが生まれる可能性もあるのです。ここでは、下落局面での具体的な投資戦略や対策について、わたしなりの考えをお伝えします。
短期的な売買判断とリスク管理
短期トレードを志向する人は、まずリスク管理が最優先です。好決算→株価下落というパターンがある程度予想されるのであれば、決算前にある程度ポジションを軽くしておくのも一つの手。もし下落したところで再度買い増しを狙うスタイルもあります。
ただし、これは相場の先行きを読む力が必要になりますし、思惑と外れた動きになったときにすぐに手仕舞いできるかどうかがカギになります。仕事で忙しいサラリーマンにとっては、あまり神経を使うトレードは現実的に難しい面もあるので、むやみに短期勝負に挑むよりは堅実なリスク管理を優先するのが無難でしょう。
長期的視点での買い増し・保有戦略
わたしが個人的にメインで考えているのは、この長期保有戦略です。NVIDIAのように、時代の需要をつかみ、技術力やビジネスモデルに強みを持つ企業は、短期的な株価の上下動に惑わされず、長期的に見れば成長が期待しやすいと考えています。
実際、AI関連やデータセンター向けの半導体需要はこれから先も拡大傾向にあると思われます。自動運転やクラウドコンピューティング、メタバースなど、今後5年、10年スパンで見てもGPUの需要は高まる可能性がある。短期的な調整が入ったときこそ、長期目線の投資家にとっては「買い増しのチャンス」になるかもしれません。
長期投資では、企業の四半期決算よりも年間や数年単位の成長性や、経営戦略の方向性をチェックするほうが重要です。決算がどれだけ好調でも、すでに株価に織り込まれている場合もありますし、想定外のリスクが顕在化する可能性もあります。だからこそ、長いスパンで事業の将来性を見極めながら、コツコツ買い増すようなスタイルがおすすめです。
分散投資とポートフォリオ管理のヒント
これは投資の大原則ですが、「分散投資」 はやはり強いです。NVIDIAのようなハイテク・グロース株は成長性がある反面、ボラティリティ(価格変動)が大きい傾向があります。株価の上昇局面では大きなリターンが期待できる反面、下落するときも一気に落ちるリスクがあるわけです。
そのため、ポートフォリオ管理をしっかり考えることが重要です。「NVIDIA一本足打法」ではなく、他のセクターや地域、債券や現金なども組み合わせてリスクを分散させる方法をとるのが一般的です。具体的には以下のようなイメージでしょう。
- 米国ハイテク銘柄(NVIDIA、Apple、Microsoftなど)
- 伝統的なディフェンシブ銘柄(生活必需品系、医薬品など)
- 日本株や新興国株など地域分散
- 債券や金(ゴールド)など安全資産
- 余裕資金(キャッシュ)
これらを自分のリスク許容度に応じてバランスを組み合わせるのが、王道といわれています。投資に「絶対」はありませんから、複数の投資先に分散することで、いざというときのダメージを軽減するというわけですね。
まとめ
好決算だったのに株価が下落するなんて、初めて投資をする人にはなかなか理解しづらい現象かもしれません。ですが、株式市場では「期待と現実の差」や「材料出尽くし」など、さまざまな要因が組み合わさって値動きが決まります。短期的な値動きだけを追ってしまうと、どうしても感情や心理に振り回されがちです。
特に個人投資家は「周りが売っていると自分も不安になって売ってしまう」「逆に周りが買っていると安心して遅れて買いに入る」などの心理的な落とし穴にはまることがあります。こうした心理に振り回されると、高値掴みや安値売りをしてしまうリスクが高まります。
NVIDIAに関していえば、好決算は今後の成長性を裏付ける一つのデータにすぎません。
大事なのは、「事業の継続成長性」 をきちんと見極めること。AIや自動運転、データセンター向けの需要が続くのであれば、長期的には期待できる銘柄といえるでしょう。そのうえで、分散投資やポートフォリオ管理をしっかり行い、急落があっても慌てずに対処できるようにしておくのが理想です。
これからも世界経済やテクノロジーの進化は目まぐるしいです。投資家としては、日々のニュースや決算情報だけでなく、業界のトレンドや世界のマクロ経済の動向にもアンテナを張りつつ、冷静に判断していきたいですね。
わたしも、忙しいサラリーマン生活の合間を縫って情報収集を続けています。
ぜひみなさんも、短期的な値動きだけで一喜一憂せず、長期視点での企業価値や将来性に注目して投資判断をしてみてください!
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